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研究業績
[学術論文][学会発表]
2009年11月20日現在
名    称
単著
共著
発行・発表の年月 発行所、発表雑誌等又は発表学会等の名称
概    要
Editorial
2009.6日本病跡学雑誌 第77号 pp2-3
天才・偉人の国際性・普遍性と地域性・限局性について
The urgent need for additional suicide prevention measures among men in the USA
2008.11West Indian Medical Lournal
The need for measures to prevent `solitary deaths' after large earthquakes Based on current conditions following the Great Hanshin-Awaji Earthquake.
2008.8Journal of Forensic Legal Madicine 15 (2008) 527-528
近年、「孤独死」についてメディアで報じられている。調査によると兵庫県では、阪神淡路大震災後に高齢者の孤独死が増加していることが判明した。
大地震(災害)後の「孤独死」を防ぐためにはどうしたらよいか考察している。
An epidemiological analysis of drunk driving accidents in Kagawa Prefecture Comparison of 1997-2000 and 2003-2006
2008.6Journal of Forensic Legal Madicine 15 (2008) 469-470
交通事故の被害者は近年減少傾向にあると報じられている。
香川県にて、道路交通法改定前後の飲酒運転事故数を比較、飲酒運転についての調査を実施した結果を解説している。
The present situation of rework programs in Japan for individuals on long term leaves of absence due to mental disorders:A Review
2008.3International Medical Journal
Diffrence between Japan and Australia with regard to the correlation of suicide rates with social factors 1990.
2007.7International Medical Journal
病跡学の対象人物
2004.6.25 日本病跡学雑誌,第67号,pp.2-3
聖学院大学における病跡学の講義中で学生が取り上げた対象人物の傾向について考察を行なった。研究者がとりあげる分野と現代の大学生が関心を寄せる分野にはちがいが見受けられことが検証された。病跡学は研究者の関心のかたよりの違いがあり学問としてやや特殊な存在であることを痛感させた。
反抗的天才、ルキーノ・ヴィスコンティの生涯と芸術
2002.12.25 日本病跡学雑誌,第64号,pp.31-37
著明な映画監督ルキーノ・ヴィスコンティの創造性について病跡学的検討を行った。ヴィスコンティはイタリアの貴族の出身であり、第二次大戦をはさんで波乱万丈の生涯を送っている。ヴィスコンティ芸術の特徴としては、総合主義・完全主義・独特の美的世界・思想的確信性の4つがあげられる。
万能型天才・空海の宇宙的世界
2002.6.25 日本病跡学雑誌,第63号,pp.2-5
弘法大師空海の天才性の特徴は、学術・文化において頂点を極めると共に優れた事業家でもあったことにあり、それは彼が典型的な循環気質者であったことによると思われる。彼には世俗的なものを拒絶し山岳に修行したような反体制的側面と、国家権力の援助も得ながら寺院を建立し事業を拡大していく体制的側面との二面性があり、これが結果的には彼の壮大な業績の展開に寄与した。その生涯を病跡学的に分析し、その活躍の謎を考察した。
病院内における接遇認識に関する研究
2001.10.20 日本医事新報,第4043号,pp.39-45
古澤聖子・作田明.
看護職員及び病院職員が接遇に関してどのような認識をもって職務に就いているかに関して、医療機関に調査を試みた。本調査は院内研修の一環として行った。質の高い接遇は、場に応じた言動のバランスと正しい認識に裏付けられた冷静な判断といえる。それを身につけ気概を持って職務を遂行するためには、実践的な研修は有効であり、医療の場での職務は常にチームワークであることが再認された。
同性愛と創造性についての歴史的考察
2000.12.25 日本病跡学雑誌,第60号,pp.11-21
今日でも同性愛とその創造性について考察する意義があることは、アメリカにおいても同性愛についての専門家、さらには一般の人々の見方が根本的に変わったとは言えないこと、また同性愛がなお少数者であって社会の差別や偏見を受けている中で、精神的葛藤や同一性危機に陥るケースがなお認められること、などから示される。
精神鑑定と人格障害
2000.9.25 こころの科学,第93号,pp.79-85
犯罪者の精神鑑定の際、鑑定人が特に困らされる事柄は、陳述の信頼性と、鑑定人と被鑑定人の人間関係とに分けられる。ここでは具体的事例を上げ、精神鑑定の場において鑑定人が陥りやすい事態について検証した。鑑定人に基本的な精神療法の知識と経験がないと、鑑定を混乱させるばかりか多くの当事者にストレスを与え、ひいては裁判の公正を脅かすことにもなりかねず、本人の自己反省や将来の更生の可能性にも影響を与えかねないのである。
Prevention of alcohol-related disorders in Japan
2000.9 International Medical Journal,vol.7, no.3,pp.203-207
T. Sakuta, T. Fukuhara and A. Sakuta.
日本におけるアルコール関連性障害の予防について論じた。
Psychiatric Testing of a Male Junior High School Student Who Committed Homicide at School
2000.8.25 犯罪学雑誌,第66巻4号,pp.131-141
男子中学生による校内殺人事件の鑑定例:
13歳の男子中学生による同学年生に対する校内殺人事件について、殺意の有無と事件の背景について考察した。少年は中学校に進学後次第にいじめにあうようになり、自殺を考えるほどの追いつめられた状況の中で、いじめの中心であった生徒を刺殺するに至った。筆者は少年の精神鑑定を行い部分的責任能力と判断したが、少年は約1年間児童自立支援施設に収容された後に別の中学校に転校・復学した。
嫉妬妄想によって夫を殺害した老人の精神鑑定例
2000.1 法と精神科臨床,第3巻1号,pp.1-9
老人の犯罪率が低いことは洋の東西を問わず犯罪学においてはよく知られた事実である。その理由については老人の精神的特性としての内向性と、体力の一般的減退が指摘される。老年期の殺人のうち、単純な殺人は、強盗殺人や強姦殺人などとは異なり非常に激しい熱情にかられて遂行される事が多い。ここでは長年にわたる夫との葛藤から、老後に夫に対する嫉妬妄想を抱き、激情から殺人に及んだ老人のケースをとりあげた。
性障害および性同一性障害―性嗜好異常
1999.12.28 精神臨床評価マニュアル,臨床精神医学no.28増刊号,pp.195-202
性嗜好異常についての臨床評価手段は今なお確立されていないが、現在のところDSM-IVやICD-10などの診断マニュアルをチェックリストとして使用するのが、現時点では最善の方策と思われる。それと同時に、それぞれの異常の概念やその定義の変遷について改めて振り返ってみることは、臨床評価の必要性や妥当性について考察する上で必要かつ不可欠のことと考えられる。
尾崎豊―その芸術と死について
1999.12.25 日本病跡学雑誌,第58号,p.107
尾崎豊は短期間に大きな成功を収め全国的な人気を獲得したが、20歳のときに突然活動を休止し、約1年間ニューヨークで生活する。その後本人の不倫・妻との別居などの事件を経、精神的な不安定さは次第に著しいものとなり、大量の飲酒をきっかけとして26歳にして死亡する。彼は死後英雄となり、その作品は今なお多くの若者の共感を得ている。彼の芸術がなぜ生まれ、共感を得るようになったのか、またその死に至る過程について考察した。
Life Span of Dialysis Patients
1999.9 International Medical Journal,vol.6, no.3,p.231
T. Sakuta, A. Sakuta and M. Sakuta.
透析患者の寿命について論じた。
アメリカの親権判決における共同親権への流れ
1999.7.31 日本医事新報,第3927号,pp.103-106
作田勉・福原泰平・作田明・大西公夫.
近年、日本において離婚が増加しつつある。したがって、子どもを夫婦のどちらが扶養するかについて争われる事例も増加しているし、精神鑑定を要請されるケースもある。しかも離婚が子どもに与える悪影響は大きなものがある。そこで、近年のそれらについての研究と、子供の養育を夫婦が共同で行う判決が増加しているアメリカの共同保護管理義務判決への流れについて検討した。
江戸時代義賊について
1999.2.1 犯罪心理研究,第7号,pp.64-70
江戸時代には犯罪者がヒーローに祭り上げられる傾向がみられるようになり、特に窃盗累犯者は義賊として称賛され、死後は信仰の対象にすらなるという状況があった。ここでは鼠小僧と日本左衛門を例に挙げ、民衆にとっての義賊イメージと照合しながら分析する。犯罪者が英雄的存在とみなされるのは、その時代の社会に対する民衆の不満が増大する中で、民衆の願望が犯罪者に投影された結果であったのかもしれない。
「出勤拒否」と回避性人格障害
1999.1.25 所沢市医師会報,第263号,pp.13-15
最近増加しつつある「出勤拒否」は、精神障害のひとつである「回避性人格障害」と関連があるとみられている。この根本的特徴は、社会的制止、不適切感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式である。治療する上でより重要なのは職場環境の調整であり、家族内の調整―多くは母親との関係―を必要とする場合も多い。
不登校の治療技法
1998.12.15 モダン・フィジシャン,第18巻12号,pp.1496-1497
作田勉・作田明.
不登校に対する治療技法を@放置法A脱感作療法B早期登校強制法C収容治療D積極的系統的治療技法の5つに分類し、それぞれの治療技法の使いわけや効果について説明する。特に有効な積極的系統的治療技法については、本人、両親、学校の先生に対しての具体的な働きかけの方法を示し、不登校の効果的な治療法を提示する。
Two Skyjacker Case Studies
1998.12 International Medical Journal, vol.5, no.4,pp.301-311
A. Sakuta and A. Fukushima.
ハイジャック犯の2症例:筆者らが経験したハイジャック犯人の精神鑑定2例について報告した。心理力動的考察を試み、挫折と無能感の状況を逆転し、英雄的な自己同一性の感覚を回復する行為としてハイジャックが行われたと理解しうることを示した。
A Study on Abnormal Findings Pertaining to the Brain in Criminals
1998.12 International Medical Journal, vol.5, no.4,pp.283-292
博士論文(東邦大学)
A. Sakuta and A. Fukushima.
犯罪者における脳異常所見の研究:筆者らが受託した精神鑑定68例について脳の異常所見を調べた。重大殺人に脳波学的異常の率が有為に高く、形態学的異常については有為差は認められなかった。犯罪行動における脳波異常所見の影響について、責任能力との関連にも触れながら考察した。
思春期男子精神分裂病者による性的動機による殺人事件の精神鑑定例
1998.11.25 最新精神医学,第3巻6号,pp.589-600
作田明・関智雄・古澤聖子.
精神分裂病の17歳男子高校生による殺人・死体遺棄事件の精神鑑定例を報告。犯行は性的動機に基き強姦を意図したもので、結局は隠蔽殺人と死体遺棄事件で逮捕されたが、事件に陥った遠因として、家庭環境、特に母子関係の問題点、思春期における自己同一性の確立の困難さを指摘し、これらが基盤となって性的欲求の高まりに伴う危機的状況のもとで被害者に対する攻撃が発現した過程を考察する。
精神鑑定と倫理
1998.11.25 最新精神医学,第3巻6号,pp.577-581
作田勉・作田明.
近年、裁判の過程において、精神鑑定の役割は大きくなりつつあり、精神鑑定を行う司法精神医学者の在り方が必然的に重要なものとなった。アメリカ「精神医学と法」アカデミーは司法精神医学の実践に関する最高の基準として「司法精神医学の実践に関する倫理ガイドライン」を提示した。これは、精神鑑定における倫理規範の基本であると考えられるので、その全文を和訳して紹介する。
傷害事件少年の鑑定例
1998.10.10 犯罪心理研究,第5号,pp.37-44
最近の神戸における少年事件をはじめとして、凶悪犯、特に強盗の増加などから、戦後第四の波が訪れたのではないかという議論が高まっている。近年、それまでごく普通に生活を送っていた少年が、突然重大事件を引き起こす「いきなり型」非行が増加しつつあるといわれるが、実際には非行以前から環境が不良であったり、幼少期から性格上の問題があったことを推定されるケースの方がはるかに多いと思われる。その鑑定例を示す。 
注意欠陥/多動性障害(ADHD)臨床の日本の現状―概念,病因,頻度,治療,他―
1998.9.30 小児の精神と神経,第38巻3号,pp.175-185
作田勉・作田明.
ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特徴をもっている子どものグループで、それによって不適応を起こしている状態を指している。ADHDの発生率はアメリカでは3~5%と言われているのに対して、日本やイギリスは約1%と少ない。しかし日本においても最近増加しつつあり、また知的障害や学習障害、言語障害との合併が多いところから、今後注意が必要と考えられる。
タラソフ原則―妄想による暴力への対応
1998.9.25 最新精神医学,第3巻5号,pp.481-482
作田勉・作田明・福原泰平.
欧米では、精神科入院患者の社会復帰の促進によって、精神障害者による暴力行為が増加している。アメリカの法廷で下された「第三者に対する患者の危険性を知っているか知っているべき精神科医は、予測される犠牲者を守るためにあらゆる合理的措置をとらねばならない」とした判決は、アメリカにおける精神科治療者の指針となった。いまや世界的な基準になりつつあるTarasoff doctrineについて紹介する。
夜驚症と夢遊症
1998.9.15 モダン・フィジシャン,第18巻9号,p.1124
作田勉・作田明.
夜驚症と夢遊症は子ども、特に5歳から7歳に多く発症し、年齢の増加とともに減少する。どちらも基底にあるメカニズムは同じと考えられ、不完全な覚醒状態へ移行するために意識狭窄状態を生じ、異常な行動を発言させる。夜驚症と夢遊症について、それぞれの特徴的な症状や生理学的背景、発現のメカニズム、治療方法を解説する。
性犯罪の現状と動向
1998.6.10 犯罪心理研究,第2号,pp.61-67
平成9年版犯罪白書によれば、強姦は昭和40年代以降減少傾向を示しているが、強制わいせつは平成3年以降増加傾向にある。性犯罪は暗数が非常に高い犯罪であるので実態がそのまま統計に示されているわけではないが、その統計数値には被害者の意識や行動、警察や検察など取り締まり側の態度、社会全体の性行動に対する考え方などの実態や、時代に伴う様々な変化が反映されている。その統計数値の裏側を探る。
精神鑑定から(1)―精神分裂病者の責任能力
1998.4.10 犯罪心理研究,第2号,pp.63-78
精神分裂病者の犯罪に対して、かつては精神医学者の間では原則として責任無能力と判断することが大勢であった。しかし現在では、分裂病であっても責任能力を機械的に否定すべきではないとする考え方は一つの潮流となり定着しつつある。その一例として、精神分裂病者による殺人事件における被告人の責任能力を認め、実刑判決を下した裁判の鑑定例を紹介する。
カール・パンズラム―人間憎悪の連続殺人
1995.4.1 イマーゴ,第7巻5号,pp.28-37
カール・パンズラムは1900年代初頭、21人もの人々を殺し、最後まで全く反省することなく処刑されていった。彼は、あらゆる犯罪者は大きくなりすぎた子供に過ぎないのであり、間違った教育と、無知と、生まれ育ったひどい環境にによって犯罪者になってしまうのだと主張する。彼の主張は自分勝手なものではあるが、時に真理に接近し、実証的論理性を持ち合わせている。ここでは彼の生涯をたどりその思考を追ってみた。
犯罪とフェティシズム―その二つの症例
1991.12.1 イマーゴ,第2巻12号,pp.207-215
フェティシズムは現代日本では犯罪とされておらず、従ってほとんどのケースはむしろ他人に知られないでいるわけであるが、たまたまそれが反社会的逸脱行為となった時に犯罪として我々の眼に触れる事になる。2つの精神鑑定例(女子中高生制服の窃盗及び非建造物放火事件、電車内で女子中高生のスカートをカッターナイフの替刃で切り裂いた事件)を挙げ、犯罪精神医学の立場からフェティシズムの本質に接近する。
マンガと病理
1990.7.1 青年心理,第82号,pp.20-28
マンガは日本人にとって生涯自己を開放していく場所であるかもしれないが、一方それが「遊び」でなくなった場合、精神的バランスを欠き、非行や犯罪につながる可能性もある。「連続幼女誘拐殺人事件」の宮崎勤被告のマンガ・ビデオへの特異ともいえる傾倒を例にとりながら、現代日本におけるマンガ・ビデオの歴史的解説と心理学的考察を踏まえ、その犯罪との関連性について考察した。
異常性愛と創造性―特に同性愛の問題をめぐって―
1990.4.25 日本病跡学雑誌,第39号,pp.30-35
異常性愛者、特に芸術に携わっている同性愛者が、想像力に恵まれ独創的であることは事実であるように思われる。ここではアラビアのロレンスとルキーノ・ヴィスコンティを例にとり、2人の生育歴・業績を時系列に記す事により、彼らの性に対する意識と行動と、創造性とを関連づける。同性愛者にとって自分の愛の対象は「自己」そのものとなり、そのプロテウス的な変幻自在性が芸術的創造性の源となっていると考えられる。
同性愛−その逸脱と病理
1988.9.1 青年心理,第71号,pp.60-64
同性愛は決して正常な愛の形態ではない。人間の自然な摂理である子孫の再生産活動に反しているのである。しかし、同性愛だけが異常性愛というわけでもなく、精神医学の上では病気ではない。異常性愛とは何か、同性愛に至る原因、同性愛の区別(精神的・肉体的)、同性愛をめぐる最近の社会的・文化的状況、対エイズ問題等について述べ、同性愛とは何かを解説した。
離別の危機−ユース・クリニック6
1988.1.1 青年心理,第67号,pp.51-53
抑うつ状態の会社員(23歳女性)の診察の記録である。家柄が釣り合わない男性との結婚を両親に反対されてふさぎ込み、入院を希望する。妊娠中であることから薬の投与は最低限にとどめたが、環境を変え、つまり両親のもとから離すことが彼女の病状に相当な変化を与え、目に見えて落ち着いてきた。彼女と結婚相手はアパートを借り実家の荷物を運び出した。入院することによって彼女は一つの青年期の危機を切り抜けることができたのであろう。
情性の欠如−ユース・クリニック5
1987.11.1 青年心理,第66号,pp.104-106
窃盗・放火・殺人の少年(18歳男子)の診察の記録である。犯行は非常に衝動的なものであり、重大な結果を招く犯罪が比較的弱い動機で容易に遂行されたことについては、知能の欠陥や爆発性とともに、他人の生命・安全・苦痛などをなんとも思わぬ性格、情性欠如性が大きな役割を演じていたと考えられる。彼の行動の異常は自己の行動の判断が全くできないほどのものではなく、また、今後改善することは十分に考えられる。
治療者の防衛機制−ユース・クリニック4
1987.9.1 青年心理,第65号,pp.59-61
疲労倦怠感を訴える会社員(28歳女性)の診察の記録である。動悸、吐気、るいそう、下痢症状などが続くが、内科医師には問題ないと診断された。筆者は彼女の身体症状に気をとられ、心の奥に入っていくことはできなかったようである。毎週の診察にある面接パターンができ、それを崩すことができなくなっていった。筆者の心の中にも防衛機構が働いたものと分析される。
母親との葛藤−ユース・クリニック3
1987.7.1 青年心理,第64号,pp.55-57
不眠・精神的疲労を主訴とする地方公務員(28歳男性)の診察の記録である。うつ状態に陥ることにより被害関係妄想に近いものが現れるのは、彼の視野の狭さがあり、神経質な母親との関係が遠因として考えられる。本人にとって母親との葛藤を克服することはもちろん容易ではないが、それでも少しずつ自己洞察を深めてきているようである。1年数ヶ月の治療により一つの終結に近づいてきたようである。
ある治療関係−ユース・クリニック2
1987.5.1 青年心理,第63号,pp.37-39
不安・緊張・吐気の症状の高校生(19歳・女子)の診察の記録である。内科的には問題はないが、高校を卒業し短大に入学しても症状は変わらず、休学することになる。少女もその母親も何の苦労もなく幸せに過ごしてきたため、周囲に適応できなかったのかもしれない。治療による大きな進歩はみられなかったが、彼女にとって治療者(筆者)は十分存在意義があったと考えられる。
登校拒否−ユース・クリニック1
1987.3.1 青年心理,第62号,pp.69-71
刺激性大腸様症状が主体の登校拒否少年(17歳男子)の診察の記録である。本人の話、母親や父親の話などを聞きながらの治療を行った。彼に決して指示を与えず、また彼の仕掛けるゲームに乗らないようにする対応を貫いたことで、少年が心を開き始め、進歩がみられるようになった。この症例においては、非指示的な精神療法を、当初の方針を変更せず一貫して進めたことが良い結果をもたらしたと考えられる。
境界例−思春期のこころの危機
1986.11.1 青年心理,第60号,pp.77-79
「境界例」ということばの「境界」とは、精神病と神経症のそれである。境界例をめぐる議論は今日の日本では一種のブームとなってきているように思われるが、この概念は決して国際的認知を受けているわけではない。ここではその「境界例」を治療する側の条件を挙げ、精神療法と薬物療法の併用が望ましいこと、つまり治療に折衷主義が必要であるということを述べた。
Maudsley Hospitalにおける新しいDay Hospitalの動向について
1985.11.28 臨床精神医学,第14巻11号,pp.1738-1740
Maudsley HospitalにおけるDay Hospitalの活動は、英国の社会精神医学の中でも極めて重要な役割を果たしてきた。1982年に開所された新しい社会復帰施設であるDistrict Services Centerの目的と概況及び現在の活動と、今後の課題について考察し、センターが一つの治療共同体としての機能を持っていることを指摘した。
ルキーノ・ヴィスコンティの病跡
1984.10.31 日本病跡学雑誌,第28号,pp.20-27
病跡学はこれまで文学・音楽・絵画などの分野の様々な天才・偉人たちを扱ってきた。しかし映画分野における研究はほとんど行われてこなかった。ここでは映画監督ルキーノ・ヴィスコンティをとりあげ、その生涯と代表的な作品を研究しながら彼の病跡を検証する。彼は、同性愛者であり、反逆者であり、矛盾に満ちた生涯を送った。彼の個人的苦悩は深かったが、それは同時に20世紀における映画芸術上の至福ともなった。
ハイジャック犯の精神鑑定例
1984.9.10 社会精神医学,第7巻3号,pp.216-224
作田明・福島章.
あるハイジャック犯人の精神鑑定例について記載した。鑑定時には精神分裂病と診断されたが、異常性格に基づく行動特徴も同様に認められた。筆者らはさらに心理力動的、人間学的考察を試み、男性的同一性の形成の困難な成育史を背景に持ち、挫折や疾病によって窮地に追いつめられ解体や疎外に瀕した人間が、自己同一性や主体性を回復する絶望的かつ象徴的な試みとしてハイジャックが行われたと理解しうることを示した。
アラビアのロレンスの病跡―異常性愛者の冒険―
1984.5.15 日本病跡学雑誌,第27号,pp.33-41
T.E.ロレンスは学者・文人・詩人であり、また軍人・政治家であり冒険家でもあった。これらの呼称や事実は彼の矛盾を表現しており、不思議な個性の持ち主であったと言わねばならない。本稿では、彼が精神分裂病に親和性の強い性愛異常者であると診断した。したがってアラビアにおける行動と冒険の全体は、病的過程に生じたものであると考えるものである。
モーズレーの司法精神医学部門について
1983.12.25 犯罪学雑誌,第49巻6号,pp.263-266
作田明・作田勉.
英国の精神医学の中心であるモーズレーについて報告し、わが国における司法精神医学の現状と比較・検討した。英国と比較してわが国では、司法精神医学の占める役割と地位が低いこと、保安処分のような制度が不十分であること、また臨床と研究を結びつけて進めてゆく場が乏しいことなどがあげられる。
拘禁状況下に現れた血統・誇大妄想の2症例
1983.11.28 臨床精神医学,第12巻11号,pp.1389-1395
拘禁状況下において発症し、血統妄想およびそれに類似した妄想と心気症状を呈し、同様の転機をたどった精神分裂病の2症例を経験したので、その妄想を中心とする臨床的治験を報告し、特に拘禁性との関わりを中心に症状発生について検討を行なった。近年わが国で著明に減少しつつある血統妄想が、矯正施設内でなおしばしばみられるという事実のもつ意味について、状況的および人間学的考察を加えた。
英国における精神療法の現状
1983.7.25 季刊精神療法,第9巻3号,pp.269-272
英国における精神療法研究の現状とその位置について報告し、日本ではまだまだ認識の浅い精神療法を今後発展させるために何をすべきかについて考察した。精神医学教育における精神療法の比重を高めること、資格制度の導入により精神療法家の地位を向上させること、それにあわせて健康保険制度を改革することなどが考えられ、精神療法家の質を高める必要があるのである。
英国における社会精神医学と地域精神医療の現状
1983.6.11 社会精神医学,第6巻2号,pp.125-128
英国における社会精神医学の発展の経緯と現状、特にモズレーにおける活動について言及し、あわせて筆者が経験した社会精神医学卒後教育について触れて、モズレーにおけるそれは臨床教育とセミナー、講義を組み合わせ、更に地域活動をも付け加えた有機的なものであることを述べた。
Maudsley Hospitalにおける卒後精神医学研修
1983.5.28 臨床精神医学,第12巻5号,pp.647-649
作田明・越智啓子.
筆者らが2年間滞在したロンドン大学精神医学研究所及びMaudsley Hospitalの卒後精神医学研修について報告した。現在、卒後教育への見直しが行われつつあるが、英国における臨床精神医学教育はきわめて充実した内容を誇っており、実績も高く評価されている。特にその全体的・系統的内容はわが国にはみられないものであり、今後学ぶべきところは大きい。
シェイクスピア研究−ハムレットにみる心理と病理−
1983.4.25 日本病跡学雑誌,第25号,pp.25-33
 シェイクスピアについては文学の領域ではこれまで無数の研究が行われてきたが、病跡学分野での研究は少ない。また、作品の分析は多くても彼自身の心理と病理にに関する考察は非常に少ない。ここでは「ハムレット」を例にとり、これはシェイクスピアの精神内界にあった混沌としたもの、矛盾するものを出し尽くした作品であると考え、「ハムレット」を書くことによって彼は高く安定した自我を獲得することができたのかもしれない、と考察した。
学会発表
名    称
単著
共著
発行・発表の年月 発行所、発表雑誌等又は発表学会等の名称
概    要
ウオルト・ディズニーの失われたイノセンスへの憧憬
2004.4.16 第51回日本病跡学会総会、東京
ウォルト・ディズニーの成功の影に隠された真実について、出生やその生い立ちから病跡学的な分析を行った。ウォルトの失われた「暖かい家庭」と「幸せな少年時代」への強い回帰願望が、自らが壮大なディズニー王国を作り上げ彼自身のための癒しの場としたのではないか。
反抗的天才ヴィスコンティの生涯と芸術
2002.4.20~21 第49回日本病跡学会総会シンポジウム,東京
映画監督ルキーノ・ヴィスコンティの生涯と作品について、精神医学的・病跡学的な分析を行い、その創造性の源泉を探求した。ヴィスコンティ芸術には総合主義・完全主義・独特の美的世界・思想的確信性という4つの特徴がある。また芸術集団の擬似家族性により仕事と社交による孤独からの防衛を行った。
万能型の天才、空海の宇宙的世界
2001.4.20~21 第48回日本病跡学会総会シンポジウム,香川
弘法大師・空海の誕生から青年期、そして入唐後の目覚しい活動を追い、性格を解析し、その生涯を病跡学的に分析して、活動の謎に迫った。空海には世俗的なものを拒絶して山岳に修行したような反律令的側面と、国家権力の援助も得ながら寺院を建立し事業を拡大した律令的側面との二面性があることを示した。
(日本病跡学雑誌no.63(2002)に同題名で掲載)
同性愛と創造性についての歴史的考察
2000.4.21~22 第47回日本病跡学会総会会長講演,東京
ギリシア・ローマ時代以来の欧米における同性愛と創造性をめぐる歴史的考察を行なった。創造的な仕事をしている人々の中に同性愛者あるいは同性愛に理解を示す人が少なくないことは事実であるとしても、同性愛自体が必ずしも創造性を促進するわけでなく、元来創造的資質を持った少数の人々に独特の作品が生ずることを示した。
(日本病跡学雑誌no.60(2000)に同題名で掲載)
A Stimulant Addict who Committed Robbery, Murder and Arson ? Interrelation Between Criminal Activity and Psychiatric Disorder Caused by Stimulant Abuse
2000.4.9~13 The 3rd International Congress of Neuropsychiatry, Kyoto
強盗殺人放火事件を引き起こした覚醒剤乱用者―犯行と覚醒剤乱用による精神障害との関連性について:
覚醒剤乱用者による強盗殺人放火事件の精神鑑定を行った。強盗殺人・死体遺棄事件の犯行時の精神状態は、覚醒剤乱用に伴う後遺精神障害(興奮・錯乱状態)であった。ここでは覚醒剤乱用による精神障害と分裂病との症状の差異について具体的に論じる。
A Patient with Schizophrenia Associated with Cerebral Atrophy who Murdered His Wife ? Interrelation between Somatic Findings and Criminal Activity
2000.4.9~13 The 3rd International Congress of Neuropsychiatry, Kyoto
脳萎縮の認められた、配偶者殺人事件を引き起こした精神分裂病の一症例―身体所見と犯罪行動との関連性について:
新婚間もない配偶者を衝動的に殺害した30歳の男子分裂病者について精神鑑定を行った。本人は結婚前から通院加療していたが、妻の些細な発言に激昂して刺殺した。ここでは本症例における身体所見と感情鈍麻・幻覚・妄想などの分裂症状および犯罪行動との関連性について考察する。さらにアルコールの影響についてもあわせて検討した。
Juvenile Crime is Becoming Serious in Japan
2000.4.3~7 6th World Congress on “Innovations in Psychiatry - 2000”, London
日本における深刻化する少年非行について:
日本における少年非行について、平成11年版警察白書と平成11年版犯罪白書を中心に分析した。凶悪・粗暴な非行の深刻化が進むなど、少年非行情勢は極めて憂慮すべき状況にある。この原因としては、家庭における放任や過保護、学級崩壊などにみられる教育の荒廃が指摘されている。ここでは少年非行増大の原因について検討すると共に、その対策についても論じた。
カール・パンズラムの生涯と思想
1999.10.29~30 第3回精神医学史学会,盛岡
連続殺人者は日本よりは欧米に多く、そのほとんどは反社会性人格障害と診断される。21人(本人によれば22人)の人を殺したパンズラムは精神鑑定委員会が精神異常と鑑定したにもかかわらず、望んだとおりに死刑の判決を得ることに成功し、絞首刑に処せられた。彼の残した記録に深く学ぶことは、連続殺人者の頻出する現代においても大きな意義があるものと考える。
(精神医学史研究,vol.3, p.53に抄録掲載)
Psychiatric Care in an Aging Society in Japan
1999.8.6~11 The 11th World Congress of Psychiatry, Hamburg
高齢化社会の日本における精神医学的ケア:
今日の日本において、出生率の減少に伴う高齢化社会は、これまでどのような国家においても経験されたことがないくらい劇的に進展している。多くの精神病院は、一般精神病棟を高齢者のための物に改造した。高齢化の弊害は、高齢者の増加によりさらに強くなるかもしれず、必然的に少数化した若者の肩に何人もの高齢者の世話をするという荷がかかってくる。この状況について報告・考察した。
Crimes in Japan Today
1999.8.6~11 The 11th World Congress of Psychiatry, Hamburg
今日の日本の犯罪:
今日まで日本は、先進国の中で最も低い犯罪発生率を誇ってきた。ヨーロッパの国々や米国に比べると、犯罪発生率は極めて低いが、逆に逮捕率は高くなっている。しかしながら最近の日本においては、凶悪犯罪の増加傾向がみられる。1998年以降、殺人罪の検挙と逮捕者は増加している。ここでは、その原因と有効な対策を徹底的に考察する。
尾崎豊−その芸術と死について
1999.4.25~26 第46回日本病跡学会総会,京都
尾崎豊の芸術がなぜ生まれ、共感を得るようになったのか、またその死に至る過程について考察した。彼の「反抗」が覚醒剤取締法違反による逮捕という形で一応の決着をみた時に、彼の人生もまた終わりを告げざるを得なかったのかもしれない。あくまでも成熟を拒否し続けた尾崎にとって、26歳での死はある意味では必然であったと考えられる。
(日本病跡学雑誌no.58(1999)に同題名で掲載)
睡眠脳波微少状態の推移処理とその異常について―軽度汎性脳障害者への応用−
1999.4.21~23 第38回日本ME学会大会,仙台
前山裕子・石川史人・石川文之進・作田明・島田尊正・深見忠典・椎名毅・原田元・斎藤陽一.
老人性の脳循環障害などの、汎発生かつ軽度の脳障害が想定される例でしばしば正常な睡眠進行の脳波学的シークエンスの乱れが見られ、ことに睡眠第一期の後半後に出現する瘤波が、覚醒時のα波に混じってみられることがしばしば経験される。本報告では、このような睡眠パターンと導入序列の乱れを客観的に検出する解析法について説明した。
(日本ME学会雑誌,vol.37特別号, p.224に抄録掲載)
入眠期脳波における微小状態推移の異常について―軽度汎性脳障害者の所見から―
1998.11.11~13 第28回日本脳波・筋電図学会学術大会,神戸
前山裕子・石川史人・石川文之進・作田明・島田尊正・椎名毅・原田元・斎藤陽一・片山貴文.
通常成人における入眠時の脳波状態推移は、Tb期に入って第一種瘤波あるいは中心鋭波が表れる。これに反して軽度で汎性の脳障害の疑われる症例では、屡入眠時の脳波状態推移の序列に異常がみられる。これらの脳波の微小状態の推移の特性を、特微波テムプレートを用いた走査型相関フィルターの適用によって解析した結果を供覧して討論した。
(抄録p.251)
江戸時代義賊の犯罪精神医学的研究―鼠小僧と日本左衛門を中心として―
1998.10.23~24 第2回精神医学史学会,郡山
江戸時代には窃盗累犯者が大衆の人気を博し、義賊として賞賛されることがあった。その代表としては鼠小僧と日本左衛門があげられる。今回、江戸時代における「義賊」の実態をできるだけ具体的に分析し、民衆の義賊イメージの形成についても多方面から考察した。
(精神医学史研究,vol.2, p.66~67に抄録掲載)
異常性愛と創造性―特に同性愛の問題をめぐって―
1989.4.14 第36回日本病跡学会シンポジウム
異常性愛、特に同性愛と創造性との関連性については、これまでにも注目されさまざまな形で論じられている。特に同性愛者が独創的傾向を持っているわけではないが、芸術に携わっている同性愛者の中には想像力に恵まれ独創的であろうとしている人が少なくないことは事実である。精神分析的な説明としては、福島章の三島由紀夫についての解釈(プロテクス的変幻自在性)が参考となるであろう。
(日本病跡学雑誌no.39(1990)に同題名で掲載)
拘禁反応―精神分裂病との鑑別をめぐって―
1984.10.17~18 第31回日本矯正医学会総会,東京
大谷輝信・羽藤邦利・作田明・石川義博.
分裂病を除く精神障害のうち、最も患者数の多い拘禁反応は、分裂病と極めて良く似た症状を呈するものがあり、その鑑別は決して容易ではない。ここでは1983年の1年間に、八王子医療刑務所に入所した精神障害受刑者62名について、診断の再検討を実施し、診断の根拠を整理した。
(矯正医学,vol.33, 抄録号,p.9に抄録掲載)
家族の病理と攻撃性について―1犯罪者の症例から
1983.9.8~10 精神病理懇話会・宝塚‘83
作田明・石川義博.
犯罪者あるいは非行少年の家族研究は数多いが、その多くは家族関係が疎な場合に犯罪・非行者が発生しやすいことを指摘している。ここでは典型的な犯罪・非行者とは全く異なり、受刑中もなお家族と深い絆を保っている強制わいせつ罪の症例を取り上げる。この犯罪には母主導型家族であるという家族の病理が反映していると考えられ、犯人がなぜこうした犯行を選択するに至ったかについても立ち入って検討した。
(抄録p.36~37)
A five years’ follow-up study of mentally abnormal offenders in a Japanese medical prison
1983.9.4~8 10th World Congress of Social Psychiatry, Osaka
K. Hatoh, A. Sakuta, T. Ohtani, T. Koyanagi and Y. Ishikawa
八王子医療刑務所を出所した精神障害者について5年間の予後調査を行ったので発表した。精神障害者の犯罪者は精神的に障害を持たない犯罪者と比較して社会復帰が困難である。また精神症状が重症であるほど再犯性が高いこと、家族や地域のサポートの有無が社会復帰に大きな影響を与えることが示された。
The history of Japanese psychiatry and its peculiarities
1983.7.11~16 7th World Congress of Psychiatry, Vienna
輸入学問としての日本の精神医学の現状と問題点について論じた。日本の精神医学は明治時代にドイツ精神医学を導入することにより始まり、戦後はアメリカ・フランス・イギリスの各国の影響も受けるようになっている。この中で土居健郎の甘え理論や森田療法など独自の思想も定着しつつある。
The need for secure hospital facilities for mentally ill criminals in Japan
1983.7.11~16 7th World Congress of Psychiatry, Vienna
日本においては、欧米の多くの国と異なり、犯罪を犯した精神障害者に対する保安的機能を有した病院施設がないことを紹介し、そのために精神障害者による重大な犯罪が生じるたびにこうした保安施設を設置する要求が強まるが、もし新設するのであれば小規模施設が望ましいことを論じた。
The usefulness of pathography in psychiatry
19837.11~16 7th World Congress of Psychiatry, Vienna
精神医学研究における病跡学の有用性について論じた。ドイツ精神病理学から派生した病跡学は、日本の精神医学において確固たる地位を占めるようになった。それは病跡学研究がひいては臨床研究にも役立つことが広く理解されるようになったためであるが、更には日本と外国の文化と国民性の違いを認識する上でも有用と思われる。
英国における卒後精神医学教育の現状−経験的立場から
1983.6.9~11 第79回日本精神神経学会総会,札幌
日本における2年間の卒後研修に引き続き、2年間にわたり英国において精神医学研修を受けることができたという経験から、両国の卒後精神医学教育制度を比較検討した。英国では精神科専門医制度を採用しており、専門医となるためには一定の試験に合格しなければならないが、こうした制度の導入が日本でも検討されるべきである。
(抄録p.37)
八王子医療刑務所における覚醒剤中毒後遺症の臨床像
1983.4.11~12 第30回日本矯正医学会総会,大阪
大谷輝信・永江三郎・羽藤邦利・作田明・石川義博.
八王子医療刑務所では、新たに入所した覚醒剤中毒後遺症患者は、1974年に初めて現れており、発表時までに17名を数えている。これは、同じ時期に、当初に入所した精神障害患者の5.3%にあたる。精神病状として、幻覚妄想状態、緊張症状群、情意減弱状態が挙げられた。これらが消失した後、抑うつ状態を呈するものもあった。
(矯正医学,vol.32, 抄録号,p.11に抄録掲載)
八王子医療刑務所における経理夫受刑者の精神身体症状と問題点について
1983.4.11~12 第30回日本矯正医学会総会,大阪
作田明・大谷輝信・羽藤邦利・永江三郎・石川義博.
八王子医療刑務所においては、種々の精神身体症状を訴える経理夫受刑者が異常に多いということがかねてより言われている。彼らの特徴としては、症状が軽微であっても訴える者が多く、受診・服薬を好むが入院は拒む場合が普通で、あくまで外来患者として扱われたい者がほとんどである。その一部には拘禁反応と考えられる症状が認められた。
(矯正医学,vol.32, 抄録号,p.2~3に抄録掲載)
八王子医療刑務所精神科病棟を経由して出所した者の予後について―第一報
1983.4.11~12 第30回日本矯正医学会総会,大阪
羽藤邦利・石原慶子・乾治雄・大谷輝信・小柳武・作田明・山本光江・永江三郎・永見治・吉永享・石川義博.
1973年から77年に八王子医療刑務所から出所した者、及び八王子医療刑務所から元の刑務所に移送後出所した者のあわせて180名について、出所後5年間に限って、出所直後の状況、職業、家族関係、治療状況、再犯の有無とその罪状等について追跡調査を行い、精神障害の程度と再犯性に関連性のあることを指摘した。
(矯正医学,vol.32, 抄録号,p.2に抄録掲載)
千葉県における精神障害者の犯罪についての考察−起訴前精神鑑定を通じての知見から−
1983.3.26~27
第3回社会精神医学会,東京
1978年から1980年にかけて千葉地方検察庁において行った28例の起訴前精神鑑定について発表を行った。罪名分布は凶悪犯罪は7例で、全例中3分の1以下であった。診断については全例のほぼ半数を精神分裂病が占め、中毒性精神障害は26%であった。検察庁における起訴前鑑定が定着し、精神分裂病に対する認識が深まっていることを示している。
(社会精神医学,6-3,1983.9.11に抄録掲載)
シェイクスピア研究―「ハムレット」における心理と病理」―
1982.10.16 第29回日本病跡学会
ウィリアム・シェイクスピアの生活史を概観し、家庭生活において不幸であったこと、孤独と絶望に裏づけられた一種の仮面をつけていたことを指摘した。更にハムレットの幻覚・妄想について分析し、ハムレットは自らのエディプス・コンプレックスを処理できずにうつ病に陥ったものであり、ハムレットの父に対する感情には、シェイクスピアの父子関係が反映しているものと考えた。
(日本病跡学雑誌no.25(1983)に同題名で掲載)。
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